コムデギャルソン「こぶドレス」の価値とは?買取事例と相場も解説!
2025.01.11
こんにちは!バイヤーの小澤です。
ファッションの歴史を語る上で欠かせない存在『COMME des GARCONS』
その中でも1997年春夏コレクションで発表された「Body Meets Dress, Dress Meets Body」
通称 「こぶドレス」は、大胆なシルエットと独創的なデザインで注目を集めたアイテムです。
このお品物は、現在の買取市場でも非常に注目されていて高価査定が期待できるアイテムです。今回はそんな「こぶドレス」の歴史的背景からデザインの魅力、そして実際の買取事例や相場まで解説していきます。
お手持ちのアイテムの価値を知りたい方や、コムデギャルソンの魅力を再発見したい方は、ぜひ最後までお読みください!
身体を再定義するデザイン『こぶドレス』とは?
出典:美術手帖
コムデギャルソンは1997年春夏、肩や背中、腰などにかつてみたことのない大きなパッドが入った服を作り、ボディラインに固執して一歩も抜け出せないでいる従来のシルエットの限界を超えてみせました。
このコレクションは当時世界に衝撃を与え、否定的な意見も多くみられました。
レビューには腫瘍やせむしの言及があふれており、評論家がそれを「こぶと腫瘍」と名付けたことから、そのような呼び名がついたと言われております。
デザイナーの川久保玲はショーについて、下記のように語っています。
- ❝ 新しいアイデアを徹底的に模索し、考え抜いた結果、時間切れになる直前に、服が身体になり、身体が服になる可能性があることに気づきました。これは新しい服の可能性のアイデアでした。それから身体のデザインを始めました。毎日着られるような気楽な服になるとは思っていませんでしたが、コムデギャルソンの服は常に世界にとって新しく、刺激的なものであるべきです。自分の服が最終的に着られるかどうかを心配するよりも、考えを行動に移すことの方が重要だと思います。おそらくそれが、このコレクションが多くの人の強い感情を刺激した理由でしょう。❞
— 川久保玲
「robe de chambre COMME des GARCONS」での展開も!
実は、この通称「こぶ」と呼ばれるアイテムはコムデギャルソンの別ラインである「ローブドシャンブルコムデギャルソン」でも同シーズンに展開されていました。
ローブドシャンブルコムデギャルソンは、川久保玲が手掛け、デイリーウェアラインとして人気を博していたラインで、現在は「コムデギャルソンコムデギャルソン」という別ラインと統合されています。
川久保は過去のインタビューでこのように述べています。
- ❝ 新しくて強いものは何かと常に探りながら作っているのがコム デ ギャルソンです。ローブ ド シャンブルはそれと違い、私自身の、大げさにいえばそれまでの生き方や価値観、ライフスタイルが表現されているブランドだと思います。❞
— 川久保玲
このインタビューを読み解くと、コムデギャルソンで展開していたものをローブドシャンブルコムデギャルソンでも展開に至ったことは異例であり、川久保自身にとってもそれまでの価値観を大きく変化させたものだったことが伺えます。
ファッション界とアート界への深い影響
出典:VIVA
「Body Meets Dress,Dress Meets Body」のコレクションは、身体と服の関係を深く掘り下げた革新的な作品で、ファッション界に大きな影響を与えました。 このコレクションは、服が単なる衣服に留まらず、自己表現や身体の一部として機能するという考え方を広めました。
このテーマは、デザインや美学に対する新たな視点を提供し、ファッション誌やアート誌にまでその影響を及ぼしました。服を「着るもの」としてだけでなく、アートとして捉える視点が強調され、ファッションの枠を超えた表現方法が注目されました。
また、このコレクションは、アーティストやパフォーマンスアートの世界にも大きな影響を与えました。
この章では、特に影響を受けたアート雑誌「ヴィジョネア」と着用アーティストについてご紹介します。
アートとファッションが交わる芸術的な媒体「ヴィジョネア」
出典:NITESHA
ヴィジョネアは、1991年にスティーブン・ガン(Stephen Gan)、ジェームズ・カリアード(James Kaliardos)、セシリア・ディーン(Cecilia Dean)によって創刊された、前衛的で革新的なファッションとアートを融合させた特別な雑誌です。
毎号異なるアーティスト、ファッションデザイナー、写真家らとコラボレーションし、その号ごとにユニークで個性的な編集方法やディレクションで発行しています。
単なるファッション誌ではなく、アートブックや写真集のように、ビジュアルとデザインの枠を超えた芸術的な媒体として知られています。
- ❇️「VISIONAIRE(ヴィジョネア)」について
- 創刊:1991年
- 特徴:アートとファッションを融合させた革新的な雑誌
- 内容:ファッション、アート、デザイン、音楽などのクリエイティブ分野をカバー
- 形式:限定版、アート作品のようなビジュアルデザイン
- 参加者:毎号、異なるアーティストやでデザイナーが参加
- 印刷技術:高品質な印刷、独特な素材やデザインが特徴
- テーマ:各号に特定のテーマが設定され、そのテーマに基づいたコンテンツが展開
- 影響力:ファッションとアートの境界線を越え、両分野の融合を促進
- 目的:服やアートを新しい視点で表現しインスピレーションを提供
コムデギャルソンの川久保玲をゲストエディターに迎えたのは第20号(1997年)であり、コムデギャルソンの広告や伝統的雑誌「Six」などのグラフィックデザインを手掛けてきた井上嗣也によるアートディレクションです。
篠山紀信の「Six 1/4」の他、「What do you make of this?(これで何を作る?)と生地に印字されたパターン(未開封)、ブルース・ウェーバー(bruce weber)、ピーター・リンドバーグ(Peter Lindbergh)、ニック・ナイトシート13枚が付属しています。
ヴィジョネアの中でも発売直後に即完売となった貴重な号のため、中古市場でも高値で取引されています。
出典:Yahoo!オークション
ヴィジョネアは常に芸術的なビジュアルを重視し、社会的、文化的に挑戦的なテーマを扱うことが多かったです。「Body Meets Dress,Dress Meets Body」のコレクションも、そのデザインとテーマが非常に挑戦的であり、従来の美的基準を覆すようなものでした。
このような挑戦的なアプローチが、ヴィジョネアのクリエイティブディレクターたちにとってインスピレーションとなり、コレクションから受けた影響は大きかったと考えられます。
「こぶドレス」をまとった有名アーティスト
このコレクションは様々なアーティストが着用したことでも有名です。
「Body Meets Dress, Dress Meets Body」は服と身体が一体となることを示唆するコレクションでした。このアプローチは、身体そのものやその表現に対する新しい視点を提案しました。
アーティストたちは、服がどのようにして体を変形させ、または強調し、物理的・感情的な意味を生み出すのかに着目しました。
このような新しい視点は、アートにおける身体表現やアイデンティティ、身体性を探求するアーティストに大きな影響を与えました。
Björk
出典:X
アイスランド出身のミュージシャンBjörk(ビョーク)は、このコレクションの代表的な着用者です。
彼女はそのユニークで芸術的な衣装センスで知られ、このコレクションの「Body Meets Dress,Dress Meets Body」コレクションを着用し、ファッションと音楽の融合を象徴する存在となりました。
特に、彼女のライブパフォーマンスやミュージックビデオでこのコレクションのドレスが印象的に登場しました。
出典:コムデギャルソン店舗マップ
YUKI
出典:コムデギャルソン店舗マップ
日本のミュージシャンYUKIも、このコレクションの衣装を着用したことで知られています。
彼女にユニークで自由なファッションセンスはコムデギャルソンの革新的なデザインとぴったり合い、彼女の個性的なスタイルを一層引きたてました。
ニューヨークのアートの聖地「メトロポリタン美術館」
出典:FASHION HEADLINE
メトロポリタン美術館は、1870年に設立されたニューヨーク市の世界的に有名な美術館で、絵画、彫刻、考古学的遺物、装飾芸術など、様々なジャンルの美術作品を所蔵・展示しています。
館内には複数の展示館があり、観覧者は多様な文化や歴史を体験できます。
- ❇️メトロポリタン美術館について
- 所在地:アメリカ・ニューヨーク市
- 設立年:1870年
- 特徴:世界的に有名な美術館
- 所蔵作品:絵画、彫刻、考古学的遺物、装飾芸術など多岐にわたる美術作品
- 展示館:複数の展示館があり、様々なジャンルや時代の作品を提示
2017年5月4日から9月4日までニューヨークのメトロポリタン美術館では「Rei Kawakubo / Comme des Garçons. Art of the In-Between」が開催されました。
メトロポリタン美術館において存命のファッションデザイナー個人に焦点を当てたものとしては、1983年のイブ・サン=ローラン以来、実に34年ぶりの展覧会となり、140に及ぶ作品が9つのテーマごとに分けられ展示されました。
「Object/Subject」題されたセクションは「Body Meets Dress, Dress Meets Body」にフォーカスしたものであり、このコレクションが如何に影響を与えたものであったかが伺えます。
【買取事例】こぶドレスの中古市場評価と需要
コムデギャルソンは、そのヴィンテージアイテムや過去のコレクションがファッション界において特別な地位を確立しており、コレクターズアイテムとして高い評価を受けています。
その中でも「Body Meets Dress, Dress Meets Body」コレクションは特に評価が高く、当時のファッション業界においても話題を呼んだデザインです。これにより、中古市場での需要が高まり、特に状態が良好なアイテムは高値で取引されています。
尚、パッド(わた)の入ったアイテムは大変希少価値があり、相場という相場が存在しません。
もしご売却をご検討されている場合は、よりお客様への高額返金が可能な委託販売サービスをご検討下さい。
- 【関連記事】ブランド品を売るなら委託販売がお得!
委託販売の特徴や詳しい活用方法、買取との比較を解説!
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ランク | 商品状態(コンディション) |
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未使用 | 保護シールやプライスタグなどが付属しており、未使用と判断できる状態のもの |
S | 未使用とは判断できないが、使用感がないもの |
A | 使用感が少なく、目立つ傷やダメージがないもの |
AB | 使用感があり、傷や汚れなどのダメージが少ないもの |
B | 使用感が大きく目立ち、傷や汚れなどのダメージが多いもの |
コムデギャルソン 97SS ギンガムチェック ワンピース GO-10005M
状態評価 | 中古美品(A・Sランク) |
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買取目安 | ~100,000円 |
予定販売価格 | 200,000円 |
コムデギャルソン 97SS ギンガムチェック スカート GS-10004M
状態評価 | 中古美品(A・Sランク) |
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買取目安 | ~80,000円 |
予定販売価格 | 130,000円 |
お品物のコンディションによって金額は前後しますので、査定をご希望の場合は、ダメージ部分の申告を頂けますと幸いです。
まとめ|こぶドレスが示す新たな美の可能性
こぶドレスは、従来の「美しさ」や「服の在り方」に疑問を投げかけ、身体と衣服の関係を再定義した革新的なデザインです。その独特なシルエットや構造は、ファッションの枠を超え、アートとしての評価も得ています。川久保玲の「常識への挑戦」という精神が詰まったこのデザインは、単なる流行ではなく、永続的なインパクトを持つものです。
こぶドレスは着用者に新しい視点を提供し、見る者に驚きや感動を与える一方で、ファッションが持つ可能性を広げる役割も果たしています。その大胆な表現は、これからのファッション界においても新たなインスピレーションをもたらし続けるでしょう。
伝統的な美の枠組みを超えたこぶドレスは、未来の美を探求するファッションの先駆けといえます。あなたもこの特別なデザインを通じて、ファッションが持つ無限の可能性に触れてみませんか?
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