“ディオール ガリアーノ期”って何?|ジョン・ガリアーノが築いた『Dior 黄金時代』
2025.09.07

どうも!買取バイヤーの林です!
突然ですが、ジョン・ガリアーノとディオールがどんな関係にあったかご存じですか?
実はジョン・ガリアーノはデザイナーとしてディオールに功績を残した1人です。
この記事ではジョン・ガリアーノという人物と活動歴について、そしてディオールに残した代表的な名作についてお伝えしていきます。ぜひ最後までお付き合いください。
ジョン・ガリアーノはどんな人?

ジョン・ガリアーノは、ファッション界において最も影響力のあるデザイナーの一人です。
自身のブランド「John Galliano」を立ち上げたのち、ジバンシィやクリスチャン・ディオール、さらにはメゾン・マルジェラのデザイナーとしても活躍。独創的なデザインと演出力で、常に業界に衝撃を与えてきました。
ディオール時代のコレクションの中でも、特に印象深いのは2007年春夏オートクチュール、通称「Madame Butterfly コレクション」。ご存じの方も多いのではないでしょうか。
「蝶々夫人(Madama Butterfly)」は日本人女性を主人公とするオペラであり、このコレクションでは日本文化へのオマージュが随所に込められています。
なかでも葛飾北斎の《神奈川沖浪裏》をモチーフにしたドレスは、個人的に忘れられないルックのひとつです。

この作品は、2022年12月から2023年5月にかけて開催された展覧会「クリスチャン・ディオール、夢のクチュリエ」でも展示され、多くの人々を魅了しました。
また近年の代表的な仕事として挙げられるのが、メゾン・マルジェラで発表された2024年春夏オートクチュール「Artisanal コレクション」。


コルセットで形作られた独特のシルエットや、セルロイドのような艶やかさを帯びたメイクは強烈な印象を残しました。
このコレクションは、メイクを真似する若者や、親のトレンチコートを取り入れるスタイリングなど、現代のファッションに大きな影響を与えています。
なお、ガリアーノは2024年末にマルジェラを退任。現在の去就は明らかになっていませんが、彼が生み出したデザインやコレクションは今なお世界中のファッションに強い影響を与え続けています。
ジョン・ガリアーノの生い立ち
ホアン・カルロス・アントニオ・ガリアーノ(通称ジョン・ガリアーノ)は、1960年にイギリス領ジブラルタルで生まれました。6歳のときに家族とともにロンドンへ移住し、多様な文化が入り交じる都市で感性を磨いていきます。やがて自己表現の手段としてファッションに強く惹かれていきました。
彼は世界的に名高い芸術学校「セントラル・セント・マーチンズ」に入学。当初はテキスタイル科に在籍していましたが、より深い創作の可能性を求めてファッションデザイン科へ転科します。
そして1984年、首席で卒業。卒業制作コレクションはファッション界に大きな衝撃を与え、若き才能として一躍注目を集めました。
デザイナーとしてのジョン・ガリアーノ

1985年、セントラル・セント・マーチンズを首席で卒業したジョン・ガリアーノは、自身のブランドを立ち上げ、ロンドンコレクションで鮮烈なデビューを飾りました。
バイアスカットや卓越したテーラリングを駆使した独創的なスタイルは高く評価されたものの、当時の主流から外れていたため「売れない服」とも評され、資金難に苦しむ時期が続きます。
転機となったのは1996年。LVMHの支援を受けてジバンシィのデザイナーに就任し、翌年にはディオールのアーティスティック・ディレクターへ抜擢されました。
デビューコレクションでは「ニュールック」を現代的に再解釈して発表し、その革新性が絶賛されると同時に、ディオールの売上を飛躍的に伸ばす原動力となります。
その後もガリアーノは4度にわたり「ブリティッシュ・デザイナー・オブ・ザ・イヤー」を受賞し、名実ともに時代を代表するデザイナーとしての地位を確立しました。
2011年には差別的発言によるスキャンダルでディオールと自身のブランドを解雇され、一時キャリアを中断しますが、2014年にメゾン・マルジェラで復帰。再びファッション界に独自の存在感を示しています。
ディオールのガリアーノ期とは?

ディオールのガリアーノ期をひとことで表すなら、私は「再生」だと思います。
なぜそう感じるのか、少し長くなりますがお付き合いください。
1946年に創業したディオールは、クリスチャン・ディオールが打ち出した「ニュールック」によって一躍名声を得ました。
しかし1957年に彼が急逝。後任のイヴ・サンローランが短期間デザインを手がけ、その後はマルク・ボアンら複数のデザイナーが続きました。
もちろんディオールは名のあるブランドとして存続していましたが、当時は他ブランドのような強烈な個性を打ち出せず、存在感がやや薄れがちでした。
そんな状況を一変させたのが、1996年にアーティスティック・ディレクターに就任したジョン・ガリアーノです。
挑発的なデザインと演劇的なショー演出は常に話題を呼び、ディオールのイメージを一新しました。
1999年に発表された「サドルバッグ」は、現在に至るまでブランドを代表するアイコンバッグのひとつとなっています。
停滞していた時期に、ガリアーノは独創的なデザインと圧倒的な話題性でディオールを現代的かつ革新的なブランドへと生まれ変わらせました。
その衝撃は、ルイ・ヴィトンにマーク・ジェイコブスが就任してコレクションを発表したときのインパクトにも通じるものがあると感じます。
ガリアーノ期代表的なデザイン
さて、この記事のメインですね。ジョン・ガリアーノがディオールに在籍した1996年から2011年の間は、数々のアイコニックなコレクションやバッグが誕生しました。
挑発的でありながらも洗練されたデザインは、当時のトレンドを牽引するだけでなく、今なお高い人気を誇ります。
ここでは、その中でも特に代表的なデザインをいくつかご紹介します。
トロッターライン
2001年に登場した「トロッターライン」は、ディオールのロゴを規則的に並べた総柄デザインで、発表と同時に大きな話題を呼びました。2018年頃には「オブリーク」としてリバイバルされ、現代ではこの柄のほうが馴染み深いかもしれません。
よく見るとオブリークはロゴの影がより強調され、立体感があることがわかります。

オブリーク人気の影響もあり、トロッターラインも再評価され高価買取が期待できます。
ただし人気の高さゆえコピー品も多く出回っている点には注意が必要です。
今回は本物と偽物の違いについても少しご説明します。
それではこちら!どちらが本物かわかりますでしょうか?

実は左側が本物なんです。
柄だけで見分けるコツがあるといえばあるのですが…やっぱり分かりにくいですよね。
そこで今回は、より分かりやすいブランドタグの違いをご紹介します。

本物と偽物を見分けるポイントは大きく分けて2つあります。正規品の特徴をお伝えします。
- ポイント1:アパレルタグの「s」の向きが、右にやや傾いている。
- ポイント2:「Dior」の「i」の点に、白い線が一本入っている。
こうした細部で真贋を見分けることができます。
ガリアーノ期のトロッターはコレクター人気も高く、希少価値のあるラインです。偽物には気を付けていきましょう。
サドルバッグ
2000年頃にガリアーノが発表した「サドルバッグ」。その名の通り、馬の鞍(くら)に着想を得たデザインで、特徴的な曲線美は現在もほとんど変わらず受け継がれています。
それでは現在と当時のサドルバッグを比べてみましょう。

フォルムが全然変わってるように見えません。どちらもきれいな曲線が特徴的なバッグです。
気になる買取相場を比べると…
イメージ | アイテム名 | コンディション | 買取目安 |
---|---|---|---|
![]() | サドルバッグ 現行モデル (オブリーク) | ほぼ未使用 (Sランク) | 200,000円前後 |
![]() | サドルバッグ ガリアーノ期 (トロッター) | ほぼ未使用 (Sランク) | 180,000~200,000円 |
まさに時代を超えて愛される名作と言えますね。
ラスタ

2004年に発表された「ラスタ」は、ジャマイカのカルチャーやレゲエに着想を得たシリーズ。トロッター柄をベースに、赤・黄・緑のラスタカラーを取り入れたスパイシーなデザインが魅力です。
先ほどはサドルバッグの買取金額をご案内しましたが、ラスタシリーズのサドルバッグの場合はどのくらいになるのでしょうか。
イメージ | アイテム名 | コンディション | 買取目安 |
---|---|---|---|
![]() | サドルバッグ (ラスタライン) | ほぼ未使用 (Sランク) | 300,000円前後 |
ブランド買取では、一般的に黒・白・ベージュといったベーシックカラーの方が人気が高く、買取金額も伸びやすい傾向にあります。
ところが、このバッグにはプレミアがついているんです。
ガリアーノ期を象徴するアイテムであることに加え、最近のY2Kファッションブームも影響しているように思います。
ワンショルダー仕様に、2000年代らしい独特なデザイン。まさに“平成感”が色濃く出ている一点といえます。
ストリートシック
続いてご紹介するのは、ディオールの「ストリートシック」。2002年に登場したデザインで、ストリートファッションの自由なテイストと上品なスタイルを融合させたバッグです。
現在は、より洗練されたデザインとしてリバイバルされています。

こちらのバッグも、なかなか高価買取が期待できます。
イメージ | アイテム名 | コンディション | 買取目安 |
---|---|---|---|
![]() | ストリートシック ショルダーバッグ (トロッター) | ほぼ未使用 (Sランク) | 160,000円前後 |
ニュースペーパー

次はアパレルアイテムのご紹介です。
ガリアーノ期のアパレルといえば、やはり「ニュースペーパー柄」が代表的です。
2000年に誕生したこのシリーズは、新聞紙をそのまま服に取り入れるという斬新な発想で注目を集めました。
2020年には、このニュースペーパー柄を現代的に再解釈したメンズコレクションも発表され、今でもディオールのデザインにおいて重要な存在となっています。
復刻ラインも人気ですが、やはりガリアーノ期のニュースペーパー柄はとても人気です。
そのデザインは大胆で、クリスチャン・ディオールやガリアーノ自身の写真を背中に大きく写すなど、非常に尖ったルックが特徴です。
まさにインパクト抜群で、かっこよさが際立つデザインといえます。

ちなみに、ガリアーノ期のニュースペーパー柄サドルバッグは、未使用に近い状態で約400,000円の買取価格が目安です。
また、ニュースペーパー柄のアパレルは、美品であれば約100,000~300,000円ほどの買取が期待でき、現行のディオールアパレルよりも高額査定がつきやすいのが特徴です。
さらに、2000年に発表されたアイテムであるため、多少の汚れやほつれがあっても、高価買取につながる可能性があります。
まとめ|ディオール ガリアーノ期の価値と魅力
いかがでしたでしょうか。
ディオールの歴史の中でも、ガリアーノ期は特に濃密で、ブランドを語る上で欠かせない時代といえます。
当時のアイテムは現在でも高い評価を受けており、高価買取が期待できるものばかりです。
「価値が気になる」という方は、ぜひお気軽にLINE査定をご利用ください。
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