ヴィンテージシャネルのグリポアとは?希少価値や修復品の見極め方
2025.04.13

繊細な色ガラスが宝石のように輝く、シャネルの「グリポア」。
コレクターやファッション愛好家の間で根強い人気を誇るこのシリーズは、ヴィンテージシャネルの中でも特に芸術性が高く、今では市場でも入手困難なアイテムとなっています。
この記事では、グリポアの技法やシャネルとの関係性、希少価値の高いアイテムの特徴、そして修復品の見分け方まで、詳しくご紹介します。ヴィンテージシャネルに興味がある方はぜひ最後までご覧ください。
グリポアとは?|特別な技法が生んだ芸術的ジュエリー

出典:Gripoix
「グリポワ(Gripoix)」とは、19世紀後半のパリで創業された老舗工房「メゾン・グリポワ(Maison Gripoix)」によって生み出された、ガラス工芸の技法です。その創始者であるオーギュスティーヌ・グリポア(Auguste Gripoix)の名前に由来する呼び名で、彼女が手掛けた溶かしたガラスを型に流し込み、まるで宝石のように仕上げる革新的な技法を指します。
この技法は「パート・ド・ヴェール」と呼ばれる伝統的なガラス技術を応用しており、天然石では表現できない豊かな色彩や質感を実現しています。ガラスでありながら宝石に匹敵する美しさを持つこの技術は、後に多くの高級メゾンに取り入れられることになりました。
シャネルとグリポワの関係

1920年代、ココ・シャネルは従来の宝石ジュエリーとは異なる、新しい “ファッションの一部” としてのジュエリーを模索していました。そんな中で出会ったのが、グリポワのガラス装飾です。
グリポワの鮮やかで幻想的なガラス細工は、まさにシャネルが目指す「ラグジュアリーでありながら気取らない美しさ」にぴったりだったのです。以後、メゾン・グリポワはシャネルのコスチュームジュエリー制作を長年にわたり手がけ、1950〜1970年代には黄金期を迎えます。
この時代に制作されたヴィンテージシャネルのジュエリーは、まさにグリポワの技術が最大限に生かされた作品群となり、多くのファッション通やコレクターを魅了しました。
いつ頃のアイテムに使われているのか

グリポワが使用されていたシャネルのジュエリーは、主に1920年代から1990年代初頭までのアイテムに見られます。特に価値が高いとされているのは、1950〜1980年代に製作されたアイテムで、シャネルのアーカイブ資料やオークションハウスでもその価値が認められています。
尚、1990年代以降はメゾン・グリポワとの契約終了により、グリポワガラスの使用は減少し、この技法が用いられたジュエリーは “もう二度と作られない芸術作品” として、ますます希少価値が高まっています。
グリポアが施されたヴィンテージシャネルの魅力とは

出典:QOO
グリポアガラスが使われたジュエリーの魅力は、ひとつとして同じものが存在しない点にあります。手作業で色ガラスを流し込むため、微妙な色の濃淡や気泡の入り方などが全て異なる、いわば一点物。まさに芸術作品と言えるでしょう。
また、ゴールドトーンのメタルやパールと組み合わされることで、独特の重厚感と華やかさが生まれ、服装に一気にヴィンテージの品格を加えてくれます。
加えて、グリポアジュエリーは “シャネルらしさ” が凝縮された存在。ブランドロゴを前面に出さなくても、シャネルと分かる洗練されたデザインが、多くのファッショニスタに愛され続ける理由です。
通常のコスチュームジュエリーとの違い

グリポアガラスを使用したヴィンテージシャネルは、通常のコスチュームジュエリーとは一線を画します。一般的なコスチュームジュエリーでは、プラスチックやアクリルが使われることもありますが、グリポアではガラスを手作業で流し込むという極めて繊細な技法が用いられています。そのため、光を受けた際の輝きや色の奥行きが全く異なり、まるで宝石のような存在感を放ちます。
手仕事ならではの一点物感

グリポアは量産が難しく、各パーツが手作業で仕上げられるため、同じデザインでも微妙に表情が異なります。そのため、グリポアジュエリーには “一点物” に近い魅力が宿ります。機械で量産されたアイテムにはない、手仕事ならではの温かみや風合いが感じられるのも、大きな魅力のひとつです。
コレクターの評価が高い理由

グリポアを用いたヴィンテージシャネルは、世界中のコレクターの間でも非常に人気があります。その理由のひとつは、やはり “今では再現できない技術” に裏打ちされた芸術性。さらに、当時のシャネルがファッション界において最も革新的だった時代の象徴として、そのアイテムには時代背景や文化的価値も宿っています。
特に、ゴールドトーンの金具にカラフルなグリポアガラスを組み合わせたネックレスやブローチは、今なお高値で取引されることが多く、資産価値としても注目されています。
修復品に注意!グリポアジュエリーの見分け方
グリポアの査定で、「本体は本物でも、石がオリジナルではない」というケースがありました。
ヴィンテージ品である以上、長い年月を経て保管されてきたものの中には、グリポアが脱落して “石落ち” の状態になっているアイテムも少なくありません。
そうしたジュエリーに、後から似たパーツを接着して補修したものが市場に出回ることがあります。
これは完全な「偽物」とは言い切れず、ダメージを補修した “修復品” あるいは “改造品” と分類されます。

修復品に見られた特徴
- グリポア中央に白い柱状のものが見える
石落ちした部分に、後から接着剤で異なるパーツを取り付けた可能性があります。 - 触れたときに冷たさがない
本来グリポアはガラス製のため、ひんやりとした触感があります。冷たさを感じない場合、樹脂製パーツである可能性があります。
これらの特徴が見られるアイテムは、オリジナルとしての価値が評価しづらく、査定では買取基準外とされるケースもあります。
まとめ|グリポアの魅力を次の世代へつなぐために

出典:QOO
グリポアは、シャネルの歴史や職人たちの情熱が詰まった、まさに“身につける芸術”とも言える存在です。特にヴィンテージのグリポアジュエリーは、当時の手仕事の温もりや希少性が評価され、今なお多くのコレクターやファンを魅了し続けています。
その奥深さを知ることで、シャネルジュエリーの見方がきっと変わるはず。希少な一点物を所有するよろこび、本物を見極める目を養うことは、ヴィンテージの世界をより深く楽しむ第一歩です。
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